ヒト寒冷抗Bリンパ球抗体と反応する抗原物質に関する研究
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概要
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HLA抗原をタイピングするための抗血清には,同種免疫された移植患者や輸血患者あるいは妊婦の血清が用いられる。これらの血清中には,温暖条件(37℃)で検出されるB細胞に対する抗DR抗体(温暖抗B抗体)の他に,寒冷条件(5℃)で検出される別の抗体(寒冷抗B抗体)が含まれることが筆者らによるこれまでの研究からわかっていた。しかも,この寒冷抗B抗体はSLEなどの自己免疫疾患患者や正常人にも検出された。そこで,この寒冷抗B抗体と反応する抗原物質の性状について,この抗体が検出されやすいSLE患者血清を用いて追求した。その結果,B細胞膜表面のIgMイムノグロブリンがこの抗体と反応する抗原のひとつであることが明らかとなった。さらに,移植などの同種免疫で検出される温暖抗B抗体は,寒冷抗B抗体とは明らかにその標的抗原は違うものであるけれども,SLE患者では温暖抗B抗体も寒冷抗B抗体も同じ標的抗原に向う抗体であることがわかった。この寒冷抗B抗体の免疫グロブリンクラスはIgMであることが知られており,したがってこの抗体の本性は抗IgM-IgM抗体であると結論できた。
- 北里大学の論文
- 1983-04-30
著者
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