高温条件下における絨毛癌細胞の増殖能およびHuman Chorionic Gonadotropin分泌能に関する研究
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概要
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培養絨毛癌細胞GCH-nu-YSクローンの高温感受性に対する基礎的分析を通じて,ホルモン産生腫瘍である絨毛癌の温熱療法の可能性を考察するために,厳密に制禦された温度勾配培養装置を用いて,高温域の各種温度環境を設定し,各温度における細胞の増殖能およびHuman Chorionic Gonadotropin (HCG)分泌能の変動を観察した。その結果,本細胞は39.0-39.2℃の温度域ではほとんど変化はないものの,高温化と共に比例してその増殖が抑制された。また,増殖曲線から増殖限界温度は40.1-40.2℃近辺,生存限界温度は40.4-40.6℃近辺と判断され,癌細胞を温度感受性から判定する奥村分類法にあてはめると,この絨毛癌細胞は比較的良好な高温感受性を示し,腺癌細胞に近似する性格を有すると考えられた。HCG分泌能は,37.0℃では対数増殖期後半から急上昇し,定常期に最高値を示したが,高温化と共に増殖の抑制されない温度域から著しく低下した。
- 北里大学の論文
- 1982-12-31