大腸の腺腫および早期癌の微小血管構築に関する研究
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概要
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大腸腺腫の微小血管構築を調べ,柵状型,扇状型,樹枝状型の3型に分類し,各型の性状を記載した。腺腫の血管を腺腫外血管叢と腺腫内血管網の両者に分け,前者が粘膜下層の血管から立ち上がる点をstanding point,腫瘍外血管から腫瘍内血管に移行する部で腫瘍内血管が分岐する点をbranching pointと呼称した。これら2点の分布は腺腫の増殖や癌深達度の判断に重要な点であることを指摘した。柵状型は無茎性腺腫に多く,樹枝状型は有茎性で,しかも大きな腺腫にみられ,扇状型は前記2者の中間の性質を有していた。家族性大腸腺腫症の腺腫では,小さく無茎性のものにも樹枝状型が高頻度でみられ,組織学的にmalignant potentialityの高いものが多くみられた。また,大腸の早期癌の血管構築を4型(異常分岐型,糸だま状型,菊花状型,不整柵状型)に分類し,とくに異常分岐型は早期癌のごく早期にみられる変化であることを指摘した。
- 北里大学の論文
- 1982-08-31