人屍における角膜混濁度と死後経過時間との相関性について
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概要
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死後経過時間(T.A.D.)の推定にあたって,角膜混濁は重要な外表所見のひとつとされているが,これに関する統計的な報告が少ない。そこで死亡時刻の明らかな法医剖検例307体について角膜混濁度とT.A.D.との相関性について検討した。その結果,角膜透明例は死後1〜12時間,軽度混濁例は2〜24時間,中等度混濁例は8〜34時間,強度混濁例は5〜45時間で,混濁度とT.A.D.は階段的な推移を示さないでかなり重複している。特に透明例と軽度混濁例ではT.A.D.がほとんど重複し,成書に記載されているようには両者間にモデル的な相関は認め難い。またさらに眼瞼の開閉をはじめとする種々要因による影響も明確には見い出せなかった。このように角膜混濁度による主観的判定法は,各混濁度を示すT.A.D.の範囲が広いため,単独でT.A.D.推定の根拠とするのは困難であることが統計的に認められた。
- 北里大学の論文
- 1982-02-28
著者
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