正常および病的ヒト関節液の粘性に関する研究 : とくに粘性変化に関与する因子と潤滑への影響について
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概要
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他の体液に類を見ない正常関節液わ高い粘度と大きな非ニュートン性が,関節液のいかなる成分に支配され,またそれらが関節の機能にいかに関係しているかを知ることは関節の加令変化や病的変化を知る上で重要である。また特た動くことが使命である関節において,関節液の粘性と関節潤滑との関連を詳細に検討することが必要である。以上の問題を検討するため著者は129ヒト膝関節液(38正常,91病的関節液)について粘度測定と粘度に関連すると思われる構成成分の分析を行ない,さらに潤滑液とみなした場合の性能評価を揺動振子法を用いて検討した。その結果,関節液の粘度は主にヒアルロン酸に支配されることを確かめ,正常関節液の加令にともなう粘度の低下はすでに20才代に始まり,それはヒアルロン酸の濃度の低下に起因するものであり,病的関節液の粘度の低下については,濃度および分子量の低下の両因子に由来することが明らかとなった。潤滑との関係では,高い粘度を持つ関節液ほど良好な潤滑性能を示したが,非ニュートン性のそれへの関与は認められなかった。
- 北里大学の論文
- 1980-12-31