病態心の左室stiffnessに関する研究 : とくに左室弾性特性指数と臨床的応用の容易なstiffness indicesについて
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概要
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左心カテーテルによる左室圧,心エコー図による左室容量の測定により,先天性心疾患・弁膜症をのぞく48症例について,拡張期の左室圧・容量関係を調べた。このさい,緩徐充えい期において,左室圧・容量はexponentialな関係にあり,氏(P)の対数と,容量(V)の描く直線の勾配kが左室の真のstiffnessを示すといわれる(kは左室弾性指数ともよばれている)。先ず,コントロール群について検討したところ,心電図のP波の前後でexponentialな関係が成立し,lnPとVは直線関係を示し,k値の測定が可能であった。それゆえ,Pの始まりおよびPのはじまりから80msecまでの間における勾配をk値と定めた。この値は,各種の病態心で増し,左室stiffnessの高まりが示された。さらにベッドサイドで容易に測定できるstiffnessの指標として,SI_2=PCm/(D_<PE>^3-D_P^3), SI_3=PCm/(D_<PE>-D_P), SI_4=PCm/(D_Q-D_P)を考え,kとの相関を求めたとこら,それぞれ相関係数r=0.78, 0.71, 0.72であった。この中で,SI_2は肥大型心筋症においてもr=0.83の相関を示しており,左室stiffnessの指標として臨床的に応用できると考えられた。
- 北里大学の論文
- 1980-12-31