ループス腎炎 : その組織亜型と臨床像との関係および組織像の変容について
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概要
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臨床的にSLEと診断された92例(剖検例9例を含む)の腎につき,組織形態的特徴から7型に分類,臨床成績と対比して検討,各組織型と臨床的予後との相関性が得られた。更に反覆して,組織学的検索し得た例から,臨床経過と組織像相互の移行が従来の指摘より高頻度に認められ,かつ,ほぼ一定方向を辿ることが知られた。すなわち,ループス腎炎は,a)光顕的変化の少ないminimal型,mesangial型,b)増殖性変化を主とした組織障害の明らかなfocal or diffuse, proliferative型,c)膜性変化を示すmembranous型,mixed型,及びd)硬化性病変のsclerotic型に大別され,a)は腎症状が軽度,b)は予後不良,c)はstable,d)は慢性の経過をとることが認められた。変化例では,a→b→c→d方向へ進展が知られる一方,治療その他による修飾によりregressionを示し,より組織障害の軽度な型に変化する例も存在し,その背景に全身免疫学的状態の多様性が想定された。
- 北里大学の論文
- 1980-06-30
著者
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