脱落乳歯吸収面の微細構造観察のための一法
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概要
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生理的吸収を受けた乳歯の吸収面を走査型電子顕微鏡を用いて観察した.試料作製の過程で用いた水酸化ナトリウム浸軟法を種々検討し,吸収面を被う結合組織を適度に除去して破歯細胞と吸収歯面を選択的に剖出することができた.吸収歯面には種々の大きさと形態を示すハウシップ窩が観察され,その吸収窩には吸収の主役を担う破歯細胞を認めた.破歯細胞の大きさには長径が30μm以上の大型と10μm前後の小型円形のものとを観察し,細胞の辺縁には糸状偽足や背側の膜表面には多数の微突起を認め,それ以外の細胞とは容易に区別することができた.セメント質の吸収窩では窩壁に吸収によって切断されたシャーピー線維とセメント質の固有線維が露出して観察された.細胞セメント質では基質の吸収によってセメント小腔やセメント細管の一部が吸収窩の壁面に開口していた.象牙質の吸収窩では露出された基質線維が疎造な叢状を現し,被歯細胞が形成した吸収窩の形態からその移動方向が確認できた.象牙細管と管間象牙質との境界が明瞭で,吸収されやすい管間象牙質と,され難い管周象牙質が容易に識別できた.歯頸部エナメル質まで吸収が及んだ場合には,エナメル小柱の有機質が多い小柱鞘が選択的に吸収を受けて消失し,深い溝として小柱鞘の輪郭を示していた.
- 朝日大学の論文
- 2004-11-20
著者
-
鈴木 礼子
朝日大学 歯・口腔解剖学分野
-
吉田 寿穂
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔解剖学分野
-
神吉 秀典
朝日大学歯学部
-
鈴木 礼子
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔解剖学分野
-
明坂 年隆
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔解剖学分野
-
吉田 寿穂
朝日大歯口腔解剖学分野
-
明坂 年隆
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座口腔解剖学分野口腔解剖学
-
明坂 年隆
朝日大学歯学部口腔解剖学講座
-
神吉 秀典
総合診療科
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