不完備契約, 経済成長とその安定性 : データを利用した理論へのアプローチ
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概要
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本論文では, 企業への投資と経済成長の関係に着目し分析を行った. まず, 金融市場が完全な状態をベンチマークとして, 現実の経済で起こりうる不完備契約のもとでの経済成長に関する分析をし, 経済成長を安定化させるためには資本ストックの水準が重要な役割を果たしていることを導き出した. また, 所得の不平等が生じる可能性に関しても示唆した. さらに, 理論と現実の整合性を確認するため, Penn World Table Mark6.1 のデータを使用して, 1人当たりGDPと経済成長のばらつきに関して分析を行った. そして, 初期の1人当たりGDPが低い国, すなわち十分な資本ストックが蓄積できない国においては, 経済成長のばらつきが大きいことが確認された. これは, 理論の結果と整合的であったといえよう.
- 早稲田大学の論文