職業経歴の形成条件に関するフェミニズム論的考察 : スウェーデンにおける労働市場の女性化
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概要
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女性が家庭役割を担うのはなぜかを、フェミニズムは問題にしてきた。そして、市場との関係において無償労働の問題を発見した。ここでとりあげるスウェーデンは、主婦がいないといわれる国である。労働市場の女性化がはたして男女の平等をもたらすのかどうかが問われる。女性の職業経歴形成の条件に焦点をあてるのは、それが労働市場での存在形態を左右すると考えるためである。分析の結果、女性の職業経歴形成に柔軟性を与える制度的枠組みが存在することが明らかとなった。とりわけ、女性の労働市場参入や定着を高めるうえで、次の要素が重要である。第1、労働市場への参入のステップボードとなる学歴や資格を、子育て中や子育て後にも取得できる教育制度がある。第2、常雇には、フルタイムにするか、パートタイムにするかの勤務時間の変更の交渉権が認められている。他方で、パートタイム労働とフルタイム労働の分断によって、労働市場はジェンダー・コンフリクトを内包することになった。