人生の岐路 : Hurston書簡の語るもの
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概要
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フロリダ大学図書館所蔵の書簡を検討した結果,Zora Neale Hurstonの人生の分岐点をめぐる側面,そしてそこから導かれた晩年の姿が明らかになった.Hurstonは,1935年,奨学金を得て学位を取得し大学で教鞭をとるという道につながる選択を捨てる決断をするが,これはその後を左右する重要な決断であった.この決断をHurstonにさせたのは,フォークロアやフードゥに関する資料を収集し,アフリカ系アメリカ人の文化をコンサート,演劇,小説の形で世に示し保存するという彼女が持っていた志向である.この活動に対する熱意は学位取得を断念させるに足るものであり,この決断が彼女を代表作につながる執筆活動への道へ向かわせることになったと考えられる.また晩年においては,貧困や病気のため充分な作家活動ができない状態にあって, Hurstonはなお創作意欲を持ち続け,物書きとしての人生を貫いていたのである.
- 2002-03-31