STATE-TRAIT ANXIETY INVENTRYの中国語版による中国バレーボール選手の試合前後の不安の推移について
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概要
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本研究の目的は,SpielbergerらのSTAIの中国版を作成すること。そしてそれを使って中国の男女バレーボール選手の大会前後の特性不安と状態不安の推移を追跡し競技成績とどのような関連があるかを見ることであった。日本の大学バレーボール選手の大会試合直前の追跡調査との比較を試みることもねらいであったが,中国における大会の開催条件等の関係で大会が突然中止となり残念ながら比較することができなかった。従って,6ケ月前・2ケ月前・1ケ月前・大会中止直後の不安尺度を検討することにした。1.中国版は概ね信頼できる質問用紙と言えるのではないか。2.女子選手の方が不安傾向が強く現れた。急激な情況の変化,大会の直前の中止による心理的動揺も女子選手に強く顕われたと考えられる。3.男女ともに上級生の方が不安値が高く現れた。それは,熟練者や経験の多いものほど試合前に緊張感が無くリラックスしているという定説と対応している点,特筆すべきである。4.男子主力選手の特性不安は非主力よりも低く安定しているのに対して,状態不安は高い。女子選手は両尺度ともに有意に高い。主力選手の大会に向ける緊張感は非主力選手と比較すると男女とも強く現れる傾向があることが考えられ,むしろ競技達成意欲或いは勝利意欲が強い結果,失敗不安や緊張性の不安が強く存在する。非主力選手は,主力に成るか否かの情況では不安は高まるけれど,大会に向けて主力が決定し練習が主力中心になると戦意が喪失され不安が安定するのではないかと考えられる。
- 1997-06-01