'Volitionality' と 'Responsibility' : インドネシア語における3種の受動表現 'di-' 'ter-' 'ke-an'((文学・文化編))
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
インドネシア語には 'di-', 'ter-', 'ke-an' という接辞やマーカーで使い分けられる3種の受動表現がある。本稿ではこれら3種の受動表現の差異が 'Volitionality' と 'Responsibility' という2つの観点から簡潔に説明できることを示した)。それらの差異は以下の通りである。「動作をする側に 'Volitionality' があり, それ故その事象に対する 'Responsibility' も動作をする側にあって, 動作をされる側にはどちらもない」という構造の受動表現が 'di-' (直接受け身) タイプ。「動作をする側には 'Volitionality' はなく (あるいはごく弱く), その事象に関する 'Responsibilit' はむしろ動作をされる側にある」という構造の受動表現が 'ter-' (自発的受け身) タイプ。そして「事象を引き起こしたものにもそれを蒙ったものにも 'Volitionality' や 'Responsibility' はないが, 事象を引き起こしたものと何らかの関係を持つ者が事象の結果を蒙ってしまう」という構造の受動表現が 'ke-an' (第三者の受け身 (迷惑受身)) タイプである。以上のインドネシア語受動表現の分類は, 類似した受動表現を持つ日本語の受動表現の構造分類にも, ある程度適応できると考えられる。
- 2004-03-18