ニクソン外交における修正主義の諸相
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アメリカのリチャード・M・ニクソン大統領の対外政策については、一九八○年代の後半以降、それまでの肯定的な評価とは一線を画す修正主義の立場が散見されるようになった。彼が在任中に導入しようとした対外政策上の概念は、一九七〇年代における新たな冷戦合意の形成にとってほとんど唯一の包括的な再検討であり、同時に、それが一九四五年以来の冷戦政策そのものを転換する可能性を内含するものであったことも確かである。しかしその後の展開は別の経路を辿り、デタントはその創始者と同じくいわば過去の亡霊となった。また、ニクソン政権下における個々の政策についても当事者の主張ほどにはその業績は確固としたものではない。そして、冷戦が過去の政治劇となった今日からすれば、機略に富むと思われたその対外政策もいわば未完の前例に留まっている。
- 静岡文化芸術大学の論文