アケビのアントシアン系色素の安定性について
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概要
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1. アケビ表皮の紫色部分のアントシアン系色素を抽出・分画・単離した結果, アグリコンはシアニジン, 構成糖はグルコースのシアニジン系配糖体であり, 配糖体の型はモノグルコシド, ジグルコシドの2種より構成されており, 単離物質について各種スペクトル, PPCのRf値, アセチル化物のPMRスペクトル, 過酸化水素の開裂状態等によりシアニジン-3-モノグルコシド (クリサンチミン) とシアニジン-3, 5-ジグルコシド (シアニン) を確認した。2. アントシアン色素の化学構造と安定性との関連を明らかにするために, アントシアン色素9種類 (アグリコンを含む) を用い, 0.2M酒石酸ナトリウムー酒石酸緩衝液 (pH2.5〜4.5) 中で色素の安定性への影響を検討した結果, pK値測定よりB環の水酸基の増加が, 色素分子を不安定にすることから, デルフィニジン系色素などB環に隣接水酸基を有するアントシアン色素の安定性が欠けると考えられた。また配糖体による影響ではC-3-Gは安定性がありC-3-G-5-Gになると安定性に欠ける傾向にあった。しかしpH4.5ではその逆の傾向が現れた。なお本研究の要旨は平成3年10月, 日本家政学会東北・北海道支部大会で講演した。
- 1991-12-28