外国人の法的地位と国籍に関する覚書
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概要
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少子高齢化に伴う人口政策の一環として外国人の受入を進めるべきことが政策課題として取り上げられることがある。本稿は、外国人受入の前提条件として、現在の我が国における外国人の人権保障の状況がいかなる背景の下にあるかを、外国人の定住化現象をふまえて考察する。権利性質説の下では外国人には保障されないとされてきた社会権や参政権について、近時の学説や判例は、外国人の社会構成員性を根拠に、積極に解する傾向にある。外国人が社会構成員たりえないという考え方は、国籍制度成立期に見られたものであるが、このような前提が近年のグローバル化により修正を迫られていることは明かである。本稿は、これらの現象を整理し、覚書として書き留めておくものである。なお本稿は、2003年春学期跡見学園女子大学公開講座「日本の元気をマネジメントする」における「外国人は日本を救うか-共生時代の国籍概念」の報告原稿に2003年度跡見学園女子大学特別研究助成費の交付を受けた研究の一部を反映させて加筆修正したものである。記して感謝の念を表する。