インターネット医療の成立の環境と条件.
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概要
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【はじめに】我が国の医療提供体制は,質と効率を目指し改革が進められている。一般人が医療に関する情報にアクセスし,自分のかかえる健康上の問題について知識を得たり,医療機関等を自ら選択する環境を整備することも改革の要素である。患者と医師との間の「情報の非対称性」を少なくして,医療を医師と患者の共同作業にする必要があるからである。インターネットの普及は,このために役立つだろうか,インターネットを利用している人々は現実をどのように評価し,どのように期待しているか,これら的確に捉え,医療におけるインターネット役割と,その発展の条件を見極める必要がある。【目的】インターネットで行われる情報交換に関して,一般人と医師達の間に求めるものの差があるだろうか。両者は情報の安全にどの程度危険を感じているだろか。また,健康情報の発信をしている医療機関や医師達はどのような問題に遭遇しているだろうか,このような疑問に応えるために一般人と医療機関(医師)の双方にアンケート調査を行って,明らかにしようとした。【方法】病院への来診者1,200名と一般社会人600名を対象にインターネット医療への期待や不安に関するアンケート調査を行った。また,インターネット上で情報提供している医師達1,000人にネット上でアンケートを行い,医師側の意識を調査した。また,インターネットで情報提供をしている医師達100名に運用上の問題に関して,eメールを使ったアンケート調査を行った。【結果】一般人と医師のインターネットを利用した医療サービスの期待については,病気や医療機関に関すること,健康管理・疾病予防に関することなどであり原則的には同じ方向を向いていることがわかった。一般人は大多数がインターネットでの情報取得に安全性に対する不安よりも利点を感じており,利用経験者の方にその傾向が強かった。医師のインターネットに対する期待は,患者情報よりはむしろ医療技術,学術情報に向かっているが,患者層へ情報発信にも積極的であることが示された。インターネットを介して個別の情報通信で医療サービスを行っている医師達は,的確な診断をするための情報不足に問題があることを指摘している。【結論】インターネット医療を普及させるためには,情報の質と安全を確保するために,通信環境の整備,個人情報保護のガイドライン整備,医療情報の質の評価メカニズム,医療上の規制緩和などをすすめなければならない。
- 千葉大学の論文
- 2005-04-01
著者
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