自己愛人格の実証的研究 : 成人期のNPI-Nの分析を通して
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概要
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本研究は筆者が作成したNPI-N(三船1991)を用いた成人期の自己愛人格の実証的研究である。調査1、NPI-Nの因子分析、MMPIの10尺度、2点法との相関係数を求めて、各因子の特徴を明らかにした。調査2では、ゴールドバーグ指数を用いて、各因子の適応面について、さらに、調査3ではMMPIの精神医学的診断印象を用いて、身体化表現心性、不安・抑鬱心性、行動化表現心性(心理療法における見立ての視点)からみた各因子特徴を調べた。結果、1青年期と成人期の因子構造の相違を明らかにした。2各因子は、第I因子「リーダーシップ」(人の上に立つすぐれた私)、第II因子「鏡映願望」(愛されたい私)、第III因子「自己主張」(はっきりものが言える私)、第IV因子「自己耽溺」(すばらしい私)、第V因子「優越感」(誰からも愛される私)と命名した。3自己愛人格の下位尺度の探索的解釈より、「Doingの自己愛」-「Beingの自己愛」という観点を導入した。調査2、3の結果を総合し、「Doingの自己愛」は健康な自己愛、「Beingの自己愛」は不健康、もしくは病的な自己愛と従来言われてきたものであるが、自己愛は健康-不健康という静的二分法からではなく、「Doingの自己愛」と「Beingの自己愛」を2極として捕らえ、そのダイナミズムをとらえていくことが臨床的に有効な視点となると考えられる結果を得た。
- 山口県立大学の論文
- 2005-03-31