ミスト装置による挿木について
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概要
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(1)ルートン処理の効果は本実験の結果からはキンモクセイ及びヤマモミジでは処理区3区のいずれでも著しかつたがソメイヨシノの場合には効果は認められなかつた,従つでルートンは樹種によつて効果を異にするものと思われる。(2)各樹種共に床土に因る結果の差異は明瞭に表われなかつたがソメイヨシノにおける赤土、鹿沼土田区及びキンモクセイの赤土区の好結果より考えてミスト処理の場合には、挿穂を保持し得るに足るたけの床土で,充分排水をよくすることにより更に最良の結果を得られるものと考えられる。(3)ミスト処理はその本来の特徴通り昼間のみで足り,夜間日射を受けない間は全く不用か寧ろ過湿を招いて悪影響を及ぼすものと考えられたがキンモクセイの結果からは平均して昼夜区が最高の発根率を示し昼区、標準区の順位であつたことから考えて、落葉樹種と常緑樹種との間には相違が認められた。(4)(3)の結果から考えて一般に活着迄に腐敗のおそれある樹種に対してはこれを避けるために夜間の噴霧は行なわない方がよく充分に排水のよい挿床の工夫及びその床土の種類の研究を必要とし腐敗し揃い樹種に対しては昼夜噴霧が好結果が得られるものと思われるが、この点は本試験の極めて限られた結果からは速断し得られないので、今後の試験研究を必要とするものと思う。
- 1963-03-30