コウシュンシロアリNeotermes koshunensis (Shiraki)におけるカースト間セルラーゼ活性の差異と共生原生動物除去の影響
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概要
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シロアリのセルロース消化におけるカースト間の違いと原生動物除去の影響を検討するため,コウシュンシロアリの消化管内における2種のセルラーゼ(エンドグルカナーゼ・ベータグルコシダーゼ)活性を擬職蟻・兵蟻・原生動物を除去した擬職蟻について測定した.原生動物の除去は,太陽光に120分間シロアリを暴露することによって行われた.セルラーゼ活性を測定した結果,コウシュンシロアリ擬職蟻の唾液腺と後腸に高い活性が認められたが,原生動物除去により,後腸で活性の有意な減少が認められた.また,兵蟻を用いた実験では,擬職蟻に比べて唾液腺で有意に低いセルラーゼ活性が検出されたが,後腸では大きな違いは認められなかった.これらの結果から,コウシュンシロアリでは異なるカーストにおいても後腸内の共生原生動物がセルロース消化に重要な役割を担っているが,唾液腺由来のセルラーゼは特に擬職蟻において何らかの役割を果たしていることが示唆された.本研究によって,コウシュンシロアリではカースト間においても,セルラーゼの役割に違いがあることが示唆された.
- 2006-02-25
著者
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下門 健人
沖縄県立開邦高等学校
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徳田 岳
琉球大・遺伝子実験センター
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杉尾 幸司
沖縄県立開邦高等学校
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礒崎 洵
沖縄県立開邦高等学校
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糸洲 わかの
沖縄県立開邦高等学校
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津覇 明日菜
沖縄県立開邦高等学校
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嘉数 晋毅
琉球大学遺伝子実験センター
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徳田 岳
琉球大学遺伝子実験センター
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