蛋白キナーゼPDK 1の心臓発達における生理的機能の解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Cre-LoxPシステムを用いて筋肉特異的に3' phoshoinositide-dependent kinase 1 (PDK 1) 遺伝子を欠損するマウス (M-PDK 1KO) を作成し, phosphatydilinositol 3-kinase (PI 3-K) 依存性のシグナル伝達分子の活性化及び心臓の発育におけるPDK 1の生理的意義を解析した。M-PDK 1KOの骨格筋及び心臓におけるPDK 1蛋白発現量は対照の20%程度に低下していた。M-PDK 1KOの心臓ではAktの308位のリン酸化, Aktの活性化及びGSK 3βのリン酸化は著しく低下していた。M-PDK 1KO心臓重量は対照より26%減少しており, 組織学的検討では心筋細胞の萎縮と細胞間隙の増大を認めた。一方, M-PDK 1KOの骨格筋ではAktの308位のリン酸化の抑制は軽度であり, GSK 3βのリン酸化は正常に生じた。M-PDK 1KOはメンデルの法則に基づき出生し, 出生後の体重増加も対照と差はなかったが, すべての個体が8週齢までに死亡した。以上の結果から, PDK 1はマウス個体においてAktの活性化に必須の分子であるとともに, 心臓の正常な発達にも重要な機能を果たすことが明らかとなった。
- 神戸大学の論文
- 2003-03-31