ヒト大腸癌におけるエクト型酵素E-NPP3の発現についての検討
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概要
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エクト型酵素であるE-NPPは生体内さまざまな部位に存在し, 脱リン酸化に関与する。E-NPPには3つの蛋白質ファミリーが存在するが, その生体内での分布や働きについては十分にはわかっていない。近年, E-NPP3はさまざまな細胞や腫瘍に存在するとともに, その発現が腫瘍浸潤能と関係していることが明らかになってきた。今回我々はヒトの大腸癌におけるE-NPP3の発現および局在について検討した。免疫組織学的には, ErNPP3は正常大腸組織にはわずかな発現を認めるのみであったが腫瘍細胞では管腔側から基底膜側にかけて強い発現を認め, 細胞内における局在の差は見られなかった。癌の進行度別である Dukes 分類別に発現を検討したが, 有意差は見られなかった。またウエスタンプロットでは進行大腸癌では血清中にもE-NPP3の高発現を認めたことから, E-NPP3が大腸癌の発癌に関与しているとともに, 血中のE-NPP3が大腸癌の腫瘍マーカーとなる可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文
- 2002-03-29