タウリンの糖尿病性腎症進展抑制効果とその機序
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概要
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タウリンは抗酸化作用を有する内因性浸透圧調節物質である。本研究では, タウリンの腎症進展抑制効果とその機序を解明する目的で, ストレプトゾトシン糖尿病モデルラットを使用しタウリン経口投与の高血糖関連代謝異常に及ぼす影響を検討した。糖尿病群 (n=7) では, 3ケ月日以降, 正常対照群 (n=5) に比較して尿中蛋白排泄量が増加したが, 糖尿病にタウリンを投与した群 (1%タウリン飲水, n=5) では, ほぼ対照群レベルまで抑制された。糖尿病群で増加した糖化反応中間体である3-デオキシグルコソン (3DG) の血中レベルは, タウリン投与によって減少傾向を示したが有意ではなかった。糖尿病群において腎皮質組織中のポリオール代謝産物は増加したが, タウリン含量は逆に著減していた。タウリン経口投与によって, 組織中タウリンの枯渇は完全に予防されたが, ソルビトール蓄積の抑制は部分的に留まり, フルクトース含量は高値のままであった。免疫組織学的解析では, 糖尿病性腎症の特徴である糸球体メサンギウム領域フィブロネクチン蓄積がタウリン投与によって抑制されることが示された。これらの結果から, タウリンの糖尿病性腎症進展抑制作用は, 糖化反応産物形成阻害やポリオrル代謝是正の効果は部分的で, むしろタウリン自身の枯渇を予防することによると考えられ, その抗酸化作用などの回復で腎糸球体での組織変化が防止される可能性が示唆された。
- 2002-03-29