グルコース由来メチルグリオキサールによるラット坐骨神経由来シュワン細胞のアポトーシス
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概要
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糖尿病状態では, グルコース由来高反応性のメチルグリオキサールの形成が亢進し, 糖尿病合併症進展への関与が示唆されている。一方, 糖尿病性末梢神経障害にアポトーシス細胞死が関与していることが示唆されており, 今回, メチルグリオキサールがラット坐骨神経由来シュワン細胞に対してアポトーシス誘導作用を有しているか検討した。メチルグリオキサールは濃度および時間依存性にシュワン細胞の生存率を減少させ, アポトーシスに特徴的な変化を誘導した。また, このメチルグリオキサール誘導性アポトーシスは, 糖化反応阻害剤アミノグアニジンやp38 MAPK阻害剤SB203580によって抑制されるとともに, 抗酸化剤のN-acetyl-L-cysteine でも抑制され, この現象に酸化ストレスの関与が示唆された。実際に, STZ糖尿病ラットの坐骨神経で酸化ストレスマーカーの8-OHdGの蓄積も確認された。これらの結果は, 糖尿病状態下での酸化ストレスを介する末梢神経シュワン細胞傷害にメチルグリオキサールが関与している可能性を示唆しており, 今後の糖尿病性神経障害治療のターゲットを考える上で興味深い知見と思われた。
- 神戸大学の論文
- 2004-03-31