複数部位の骨密度測定による骨粗鬆症の診断と臨床的有用性の研究

概要

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今日, 骨密度測定は様々な部位で行われ, 日本骨代謝学会の診断基準により, 各部位で骨密度が若年成人平均値の70%未満であれば骨粗鬆症と診断がなされている。全身疾患である骨粗鬆症の診断を行うにあたり, 複数部位で骨密度測定を行うことは意義のあることと思われるが, この場合, 部位間での骨粗鬆症の診断には食い違いが生じうる。そこで, 骨密度が若年成人平均値の70%未満の部位数を number of osteoporotic site (NOS) と定め, 骨粗鬆症と診断された部位数が, 骨折リスクを示す有用な指標となりえないか検討した。骨密度測定を腰椎, 大腿骨頚部, 橈骨遠位の3箇所で行い, 胸腰椎側面X線撮影を行った, 240例の女性を対象とした。各部位の骨密度とNOS, 脊椎圧迫骨折の有無を各症例について調査した。NOSの値が大きくなるに従い, 脊椎圧迫骨折を有する率, 骨折椎体数とも段階的に増加した。ROC (receiver operating characteristics curve) 解析の結果, NOSの area under ROC curve は73.3%で, 単独部位の骨密度より高い値を示した。複数部位の骨密度測定によるNOSは, 骨粗鬆症の診断をより確かなものとし, 骨折リスクを示す指標として有用であると考えられた。
2000-12-20