インスリンによる 3-Phosphoinositide-dependent protein kinase 1 (PDK1) のリン酸化機構
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
3-phosphoinositede-dependent protein kinase 1 (PDK1) は phosphatidyl-inositol (PI) 3-キナーゼの下流で機能する多くの蛋白キナーゼをリン酸化し, 活性化する蛋白キナーゼである。インスリン受容体とPDK1をともに安定的に発現したCHO細胞をインスリンで処理すると, SDS-PAGE上のPDK1の移動度の低下が生じた。また, 熱刺激や過酸化水素刺激でも同様の移動度の低下が生じた。放射性リン酸標識実験により, インスリンによるPDK1の移動度の低下はPDK1のリン酸化の増強を反映することが明らかとなった。PI3-キナーゼの薬理学的阻害剤である wortmannin は, インスリンによるPDK1の移動度の低下及びPDK1のリン酸化を抑制し, 恒常的活性型PI3-キナーゼは刺激非存在下にもPDK1の移動度の低下を促進した。キナーゼ欠損型のPDK1も野性型PDK1と同様にインスリン刺激により移動度が低下した。優位抑制型Akt, 優位抑制型 protein kinase C (PKC) λ, p70S6キナーゼの活性化を阻害する薬理学的阻害剤である rapamycin はインスリン依存性のPDK1の移動度の低下を阻害しなかった。以上の結果により, インスリン刺激によりPDK1はPI3-キナーゼ依存性にリン酸化され, このPDK1のリン酸化にはAkt, p70S6キナーゼ及びPKCλは関与しないことが示唆された。
- 神戸大学の論文
- 2001-03-31