免疫抑制薬感受性と温度感受性を示す分裂酵母its7変異体の単離と解析
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概要
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カルシニューリン (CN) は高度に保存されたCA^<2+>/カルモデュリン依存性脱リン酸化酵素であり, 免疫抑制薬FK506/シクロスポリンの標的分子でもある。分裂酵母において, CN遺伝子を破壊しても致死ではないが, 細胞質分裂・Cl^-ホメオスタシスの異常を示す。我々は, CNの生理機能を明らかにする目的で, 免疫抑制薬感受性かつ温度感受性を示すits (immunosuppressant-and temperature-sensitive) 変異体を単離した。ここでは, its7変異体の単離と機能解析について報告する。its7^+遺伝子は, Myosin light chain であるCdc4をコードしていた。過剰発現によりits7変異体の温度感受性を抑圧する遺伝子として, RRM型RNA結合蛋白質をコードするnrd1^+遺伝子を取得した。its7変異体は, 高温下あるいはFK506存在下で著しい細胞質分裂異常を示すが, Nrd1を過剰発現すると抑圧される。さらに, 変異型のcdc4蛋白質を過剰発現するとits7/cdc4変異体の形質は部分的に相補される。また, 変異型cdc4蛋白は野生型cdc4蛋白と比べて蛋白量が著明に減少していた。以上の結果から, 分裂酵母において, CNとCdc4/Its7が協同的に細胞質分裂に関与する事, 又Nrd1はcdc4変異蛋白質の安定性を高める事によりcdc4変異を抑圧している可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文
- 2001-03-31