口腔扁平上皮癌細胞における核内小体の超微形態学的
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概要
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核内小体は, 核内に見いだされる球状構造物であり, 機能の詳細については不明であるが, 癌細胞などの病的細胞において高率に認められている。分化度の異なる口腔扁平上皮癌15例と, 埋伏智歯抜歯時に切除した歯肉弁より得た正常歯肉15例を患者の同意を得て用い, 電子顕微鏡を使用して認められた核内小体について, 形態, 出現頻度, 出現部位, 細胞分化度, 細胞核DNA量に関して検討した。核内小体は形態的に類球形を呈する4種類と不整形の計5種類に分類することが出来た。腫瘍群では1500細胞中651個の核内小体が認められたのに対し, 正常歯肉では1500細胞中105個であり, 分化度の低い組織に発現率が高い傾向が見られた。出現部位に特定の傾向は認められなかったが, 核小体を中心に同心円状に多数の核内小体が位置し, 核小体との関連を示唆する像が散見された。細胞核DNAは腫瘍群において2.0Cから16.0Cの範囲で分布しており, 腫瘍細胞の分化度が低いほどDNA量が増加する傾向が見られた。さらに, DNA量が増加するにしたがい核内小体も増加することが確認され, 核内小体が腫瘍の悪性化に伴う超微構造であると考えられ, 口腔内の境界病変の鑑別に有用であることが示された。
- 神戸大学の論文
- 1999-03-31