培養ラット脳内毛細血管内皮細胞のc-GMP産生に及ぼす心房性ナトリウム利尿ペプチドおよびC-タイプナトリウム利尿ペプチドの効果
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概要
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ラットの脳内毛細血管内皮細胞の分離培養系を確立して, in vitro における心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) およびC-タイプナトリウム利尿ペプチド (CNP) の脳内毛細血管内皮細胞内 cyclic guanosine 3', 5'-monophosphate (c-GMP) 産生に及ぼす効果を検討した。方法 : Sprague-Dawley ラットの大脳皮質の毛細血管内皮細胞を2段階酵素法により分離・培養した。第VIII因子関連抗原の免疫組織染色により内皮細胞を同定し, プロスタグランディンI_2 (PGI_2) 産生能とガンマグルタミルトランスペブチダーゼ (γ-GTP) を測定することによって細胞機能を確認した。第3から第8継代の培養脳内毛細血管内皮細胞にANP (8-33) およびCNP-53を反応させ, 産生される細胞内。c-GMP濃度を測定しANP (8-33) とCNP-53の培養脳内毛細血管内皮細胞に対する作用を検討した。結果 : (1) 血管内皮細胞に特徴的な生理機能であるPGI_2産生能を有する脳内毛細血管内皮細胞の分離・培養系が確立された。(2) γ-GTP産生能は, 培養早期に消失した。(3) ANP (8-33) を反応させるとc-GMP産生量は反応時間5分で最大値に達した。(4) ANP (8-33) の濃度が10-7M以上で細胞内cGMP濃度は有意に増加した。(5) CNP-53を反応させても細胞内c-GMP濃度の有意な変化は認められなかった。結論 : 生理機能を保持した脳内毛細血管内皮細胞培養系を作成した。ANPによる細胞内c-GMP濃度の上昇は培養条件によらず安定していた。CNPは継代培養した脳内毛細血管内皮細胞に対しては作用しなかった。
- 神戸大学の論文
- 1998-03-31