インスリンによる Phosphoenolpyruvate Carboxykinase 遺伝子発現調節機構の検討
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概要
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糖新生の律速酵素である phosphoenolpyruvate carboxykinase (PEPCK) のインスリンによる遺伝子発現調節機構を検討した。PEPCK遺伝子の転写調節領域とCATレポーター遺伝子とを融合させたプラスミドを安定的に導入した肝培養細胞であるHL1C細胞を dexamethazone および8CPT-cAMPで刺激するとPEPCK遺伝子転写活性は約50倍の増強をみたが, この増強はインスリン処理により約75-90%抑制された。アデノウイルスベクターを用いた dominant negative phosphatidylinositol (PI) 3-キナーゼの導入により, このインスリン効果はほぼ完全に消失した。Dominant negative Sos の導入により, インスリン依存性のMAPキナーゼの活性化は完全に抑制されたが, インスリンのPEPCK遺伝子転写に対する効果は影響を受けなかった。さらに, constitutive eactive PI 3-キナーゼを導入するとインスリン非存在下でもPEPCK遺伝子転写は抑制された。以上の結果より, インスリンのPEPCK遺伝子転写抑制効果にはPI 3-キナーゼの活性化が必要かつ充分であり, RASにより活性化される情報伝達経路はこれに関与しない可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文
- 1998-03-31