慢性閉塞性肺疾患患者の肺機能及び運動時肺循環動態に及ぼす気管支拡張剤吸入効果の検討
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概要
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慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者における気管支拡張剤吸入の肺機能及び運動時肺循環動態に及ぼす効果を検討するため, 臨床的に安定したCOPD患者12例を対象にβ_2刺激剤であるプロカテロール (P) 及び抗コリン剤であるイプラトロピウムブロマイド (I) の吸入併用時の肺機能測定を行った。P, Iいずれの吸入でも有意の1秒量 (FEV_1) の改善を示した。併用効果については, 1の60μg吸入によりFEV_lは最大となった (0.84±0.32 [平均±SD]→1.14±0.39L)が, Pを20μg追加吸入しても有意な増加はなく併用効果を認めなかった。対象12例のうち informed consent の得られた6例に右心カテーテル検査を施行し, 仰臥位エルゴメーターによる運動負荷での肺循環動態をPの20μg吸入前後で測定した。安静時の肺循環動態はP吸入前後で変化を認めなかった。P吸入により運動後の平均肺動脈圧 (mPAP), 右室一回拍出仕事係数 (RVSWI) の上昇度が抑制され[mPAP : 43.7±4.4→34.8±3.9mmHg (p<0.05)]。以上, COPD患者における気管支拡張剤の吸入は肺機能を改善させ, 運動時肺高血圧の程度を軽減し右心負荷を減弱させた。これは気管支拡張剤吸入の気管支拡張効果による換気効率改善とそれによる auto-PEEP 改善の寄与が推測された。
- 神戸大学の論文
- 1997-12-01
著者
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