幼児期における自閉性症状に及ぼす母子支援の有効性 : 愛着形成と母子分離のプロセスからの検証
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概要
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本研究では,2歳時に「自閉症の疑い」と診断されたA児とその母親に対して行った母子支援の事例を取りあげた。A児に対しては,2歳9ヵ月から週1回1年間に亘って幼児教室において発達援助を行うとともに,並行して,母親へのカウンセリングを実施し,母子間に愛着が形成されることを目指した心理的援助を行った。その結果,母親に対する愛着行動の成立過程が示され,そして,3歳6ヵ月時には「自閉症とは言えず,経過観察が必要」とされた。また,母子分離の状態を1年間測定したところ,母子分離の推移は愛着形成の経過に対応していることが分った。このA児の事例を通して,幼児期の自閉性症状を軽減するための母子支援の有効性を愛着形成と母子分離のプロセスを調べることによって検証した。