アンドロゲン依存性,非依存性腫瘍におけるビタミンD_3誘導体の細胞増殖,アポトーシスに対する作用
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概要
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前立腺に限局した癌は手術等の根治療法が適応となる。しかし本邦ではなお初診時約半数の症例で遠隔転移を認めるため,ホルモン療法の重要性は高い。前立腺癌などのアンドロゲン依存性腫瘍はアンドロゲン除去により当初は治療に反応するが,最終的には反応しなくなりアンドロゲン非依存腫瘍に進行する。そこでホルモン非依存腫瘍に対する効果的治療が必要とされている。千葉大学泌尿器科で樹立されたアンドロゲン依存性SC 115細胞は,培地内にアンドロゲンが存在しているときのみ無血清培地で成長可能である。アンドロゲン非依存CS 2細胞はアンドロゲンの有無にかかわらず,無血清培地で成長可能である。アンドロゲン非依存癌に対する効果的な治療法を開発するため,ビタミンD_3誘導体による両細胞の増殖制御を検討した。両細胞は1,25-dihydroxy vitamin D_3, 22-oxa-calcitriolによりアポトーシス特有のDNA配列の断片化や細胞の形態学的変化をおこし,増殖抑制された。そのアポトーシスにいたる過程において,ビタミンD_3誘導体により,testosterone repressed prostatic message-2, transforming growth factor-β1, glucose regulated 78 kilodalton protein, α-prothymosinとカルモデュリンの遺伝子における発現増加がノーザンブロット解析により判明した。一方,細胞周期解析では,ビタミンD_3誘導体処理がG0/G1期で細胞増殖の停止をもたらすことも明らかとなった。以上より,アンドロゲン依存癌,非依存癌は,ビタミンD_3誘導体によるアポトーシス誘導と細胞周期停止が示唆された。本研究成果はビタミンD_3誘導体投与によるホルモン非依存癌の治療法開発に役立つものと思われた。
- 千葉大学の論文
- 1998-12-01
著者
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