ビタミンD受容体の遺伝子多型と骨成長
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概要
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ビタミンDは骨芽細胞,破骨細胞,軟骨細胞の分化増殖を制御すると報告されている。VDR遺伝子エクソン2には転写開始点と考えうるATGが2つ存在し最初のATGに遺伝子多型が認められる。このエクソン2遺伝子多型の意義について検討した。対象は最終身長に達した18-20歳健常女性90名,13歳健常男女159名,身長が-1.5SD以下の24名。身長,骨密度,骨代謝マーカーを測定し,エクソン2遺伝子多型はPCR-SSCP法,PCR-RFLP法,PCR-directsequence法により検討した。エクソン2のalleleの発現を検討するためheterozygoteの単核球よりRNAを抽出しRT-PCRを行い,SSCP法,RFLP法にて解析した。(1)エクソン2遺伝子多型の頻度はCC (ACG):37%, CT (ATG/ACG):51%, TT (ATG):12% (n=249)。(2)身長との関係:18-20歳女性,13歳男女では共にCTの身長はCC, TTに比し有意に高い。身長が-1.5SD以下の群ではCTの頻度が低い。(3)骨密度との関係:エクソン2遺伝子多型と腰椎骨密度との間に有意な関係はない。大腿骨頚部骨密度はCCがCT, TTに比し優位に低い。(4)骨代謝マーカーとの関係:血中iPTHはTTが18.1pg/mlと有意に低い。(5)RT-PCR-SSCP法によるエクソン2遺伝子多型heterozygoteの2本のalleleの発現の検討:ATGのバンドがACGのバンドの1.5- 6倍強く認められた。以上よりVDRエクソン2遺伝子多型は身長を規定することが判明した。
- 千葉大学の論文
- 1998-12-01
著者
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