Phased Array Coilを用いたMRIによる大腸癌進行度診断の有用性
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概要
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大腸癌切除例42例(S状結腸癌12例,直腸瘍30例)を対象に,空間分解能の高いphased array coilを用いたMRIによる,大腸癌進行度診断の有用性について検討した。撮像条件は,撮像面を腫瘍の部位における腸管直交面,及び腫瘍に垂直で腸管に平行な面とし,FOV(撮像視野)を16〜20cmと小さく,スキャン厚を2〜5mmと薄く設定,撮像法は小さい領域からでも良好なコントラストが得られるGd-DTPA造影(0.2mmol/kg静注)T1強調を用いた。標識を大腸粘膜下に注入した検討で,大腸壁像の内腔側の高信号層(第1層)は粘膜下層,外側の低信号層(第2層)は固有筋層に相当したことから,深達度の診断基準を,腫瘍による第1層の断裂がないものをM/SM,第1層の断裂をMP,第2層の断裂をSS/SE (A_1/A_2),他臓器との境界が不整なものをSi (Ai)と設定すると,この基準により42例中39例(93%)で組織所見と一致する結果が得られた。リンパ節転移診断については,郭清を行った39例を腸管傍リンパ節領域に描出されたリンパ節の最大径で分類し検討すると,n_1転移陽性率は最大径5mm未満または描出されないA群(21例)で14%,5mm以上10mm未満のB群(11例)で73%,10mm以上のC群(7例)で100%となった。また中枢方向n_2以上または側方リンパ節の転移を有した症例9例はすべてC群かB群であり,腸管傍リンパ節像の最大径は,遠隔リンパ節転移にも相関していることが明らかとなった。大腸癌進行度診断において,phased array coilを用いたMRIは,腫瘍近傍の詳細な撮像が可能であり,有用性が高い検査法であった。
- 千葉大学の論文
- 1998-12-01
著者
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