急性骨髄性白血病細胞におけるc-kit/SCF発現とその意義
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概要
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レセプター型チロシンキナーゼであるc-kitとそのリガンドであるstem cell factor (SCF)は初期造血において重要な役割を果たしていることが知られている。c-kitとSCFの共発現がautocrine機序による腫瘍増殖に関与することがある種の腫瘍細胞において想定されているが,白血病細胞での報告は未だない。急性白血病(AML)の細胞を対象に,c-kitとSCFによるautocrine機序を介した細胞増殖について検討した。AML28症例の白血病細胞を材料にc-kitとSCFのsoecific primerを用いたRT-PCR法によりmRNAの発現を検討し,flow cytometry (FCM)によりc-kitおよびSCFの細胞表面への発現を検討した。全例でc-kit mRNAの発現を認め,28症例中2例ではc-kitとSCFの共発現をmRNAレベルと細胞表面蛋白レベルで確認した。共発現例の白血病細胞は低濃度のfetal calf serum (FCS)添加で増殖し,SCF中和抗体の添加で増殖が阻害された。また共発現を示した症例の培養細胞上清中にSCFが検出された。以上の結果より,AMLの症例中にはc-kitとSCFが共発現する例があり,auto-crine機序を介して白血病細胞の増殖に関与している可能性が示唆された。
- 千葉大学の論文
- 1998-08-01
著者
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