ヒト巨核球系細胞の増殖,分化に果たすフィブロネクチンの役割
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概要
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造血微小環境においてフィブロネクチン(FN),コラーゲン,ラミニンなどの細胞外基質成分は造血に対し重要な役割を果たしている。一方,巨核球系細胞の分化,増殖に関しては,未だ不明な点も多い。本研究ではヒト巨核芽球系細胞株CMKを用い,FNの同造血へ及ぼす鉱物を検討した。CMKはヘテロな細胞株であるためlimiting dilution法でクローニングを施行し比較的増殖の縦やかな亜株CMK86No37を得,実験に用いた。フローサイトメトリー法(FACS)にてCMKにFNをリガンドとするVLA4, VLA5の発現を確認しFNとの接着をbinding assayで確認した。FNは濃度依存的に増殖を抑制し,IL-3, GM-CSF, SCF, TPOなどのサイトカインはこれを促進させた。またFNの増殖抑制率は各サイトカイン濃度で有意な変化を認めなかった。FNは分化の指標となるCD34, CD41a (GPHb/IIIa), CD42b (GP I b)に影響を与えなかった。形態学的及びアガロースゲル電気泳動,FACSで,FNはCMKにDNA fragmentationを引き起こし,アポトーシスを誘導することを確認した。FNの増殖抑制やアポトーシスは抗VLA5抗体で回避され,抗VLA4抗体では回避されなかった。高分化型のCMKではFNの増殖抑制率は低下した。以上よりFNはCMKに対し増殖を抑制し,その作用にはFN-VLA5インテグリンを介したシグナル伝達よるアポトーシスが関与することが示された。FNは巨核球系細胞の未熟な段階に作用し増殖に対し負の制御系を担う一つであることが示唆された。
- 千葉大学の論文
- 1997-04-01
著者
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