糖尿病患者における血小板cAMP Phosphodiesterase活性の測定とその臨床的意義
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概要
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糖尿病患者では,血小板凝集能が亢進し,糖尿病合併症に影響を及ぼすことが示唆されている。しかしながらcAMP濃度の調節に関与し血小板凝集能に影響を及ぼすと考えられる血小板cAMP phosphodiesterase(以下PDE)に関する研究は少ない。そこで,本研究では血小板PDE活性を測定し,血小板凝集能及び糖尿病慢性合併症との関係について解析した。糖尿病患者40名,非糖尿病コントロール10名を対象とし,血小板PDE活性反びcAMP濃度,血小板凝集能を測定し,糖尿病慢性合併症,家族歴,年齢等の背景因子及び各種臨床検査成績等を調査し,比較検討を行った。血小板PDE活性は^3H-cAMPを用いる既報の方法で測定し,血小板凝集能は,凝集惹起物質としてADPを使用し,最大凝集率の50%を認める濃度を求め判定した。糖尿病患者群では,コントロール群に比し血小板凝集能の亢進傾向を認めた。糖尿病患者の血小板上清PDE活性は血小板凝集能と,正の相関を示し,さらに血小板cAMP濃度とは負の相関を認めた。また,糖尿病性腎症合併例の血小板上清PDE活性は,非合併例に比し高値を示した。血小板上清PDE活性が上昇すると,血小板cAMPは減少し,血小板凝集能が亢進することが示唆された。血小板PDE活性の上昇は糖尿病性腎症の危険因子の一つであると考えられる。
- 千葉大学の論文
- 1996-12-01
著者
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