内分泌攪乱物質とその健康影響.
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概要
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近年,環境中に放出された化学物質の多くにホルモン様あるいは抗ホルモン様作用があることが見出され,化学物質の内分泌撹乱作用による生態系への悪影響が,社会問題となっている。その理由は,内分泌撹乱物質の曝露が野生動物の生殖腺や生殖腺付属器官の発生や機能分化に異常をきたし,ホルモン代謝に悪影響を及ぼしていることが判明してきたためである。諸外国より発表された論文では,ヒトにおける「精子数の減少」や「男性生殖器の発生異常の増加」などの生殖異変の原因として,内分泌撹乱物質をあげている。さらに,ヒトの疫学調査から内分泌撹乱物質の悪影響として,精巣ガン,乳ガン,子宮内膜症,女性の思春期の早期化,免疫系・神経系への影響,さらに次世代への影響が懸念されている。ただし,内分泌撹乱物質のヒトに対する影響は,現時点では明白でない。よって,本稿では,「内分泌撹乱物質とその健康影響」と題し,内分泌撹乱物質の定義や種類および生体作用の特徴,作用メカニズム,検出法等について概説し,内分泌撹乱物質のヒトヘの影響の可能性について整理する。特に,ヒトヘの影響に関しては不明な点も多いため,当方が行っている調査研究結果の一部も紹介しながら「男性生殖能の異変」に関する報告を中心に概説する。
- 2000-10-01
著者
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