産業革命黎明期における外注見積原価計算 : チャールズ・バベッジの所説を中心にして
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概要
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本稿は産業革命黎明期の英国に生き,数学者であり世界最初のコンピューターの開発者でもあるチャールズ・バベッジ焦点を当て,彼の外注見積原価計算の研究を進めた。彼の著書『機械及び諸工場の経済について』は,古典的な名著であるハットフィールド著『ハットフィールド・近代会計学』でも言及されている。筆者は彼に関心を持ち,その著書を調査し,書籍の原価計算であることが認識できた。そこで彼の大きな業績の一つである書籍の外注原価計算を研究することで19世紀初頭における外注見積原価計算の実態を明らかにした。筆者は外注費がいつ頃から存在したのか,どのようなものであったかに歴史的な関心があり,本研究を進めたものである。企業経営は,何よりも原価管理が最優先する。その管理は,標準原価計算を取り入れた管理と原価低減がある。バベッジの原価計算は全社的な原価低減である。書籍の原価計算もその一例である。彼はその著書で,科学的思考過程を経ることにより原価低減ができるという重要な提案をしている。書籍の原価計算,ひいてはバベッジの原価低減の理論は,デフレ経済下の,現在のわが国にも通用する理論であり,本研究を進めた最も大きな理由の一つである。
- 2003-09-30