現代救急医療とその展望 : 小児救急医療の現状と21世紀に向けた救急医療政策の提言
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概要
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わが国救急医療システムは,社会変遷の中,社会福祉サービスの一貫として公益性を維持しつつ,医療の平等性を根底として発展してきた。しかし,救急医療の効率化と円滑化という経済的観点がクローズアップされるにつれ「医療の平等性」「経済効率化」などが抜本的に再考を促されている。少子・高齢化社会という未曾有の人口構造変化はこの問題を加速させる。現代救急医療は多様かつ重大な問題を内包する。医療一元化における行政間軋轢や救急救命士の医療行為拡大を巡る内部対立,生命倫理と現実経済とのジレンマなど難問が山積している。「救急医療の効率化」に加え「救急医療の質向上」も並立的に考察対象とすべき重要案件と言える。救急医療における民営化論の高まりはわが国救急医療システムに微細な法制度の見直しではもはや解決出来ぬ,構造次元レベルでの変革を要求する。しかしながら民営化は救急医療において「提供する側の論理」から「提供される側の論理」へのパラダイムシフトである。つまり「医療の公益性」というものが主軸議論となる。本稿に於いては,変革期を迎える現代救急医療のあるべき方策を考察し,具体的方法論を展開する。
- 2003-09-30