炎症性サイトカインによる泌尿器科的手術侵襲の定量化と高齢者における特徴
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概要
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泌尿器科でおこなわれている手術的操作の侵襲を血清インターロイキン-6(IL-6)をパラメーターとして評価することを試みた。また高齢者におけるこの方法の有用性,手術侵襲に対する反応の特徴を検討した。開腹手術,内視鏡手術,体外衝撃波結石破砕術を施行した107例を対象とし,治療前,治療後第1日,2日目の血清IL-6をELISAキットにより測定した。同時に体温,血液中白血球数,好中球数を測定した。術前の血清IL-6値は年齢とともに上昇が見られた。IL-6値は術後上昇し,第1日目にピークを示したが,この値は手術(治療)方法,年齢の影響を受けた。開腹術でもっとも高い上昇が見られ,対外衝撃波結石破砕術,経尿道的尿管砕石術では低い値にとどまったので,IL-6上昇の因子としては組織の損傷と出血量が重要と考えられた。術後IL-6値が50pg/mlを越える手術操作では75歳以上の症例でIL-6の上昇が鈍かった。以上より,泌尿器科領域の手術侵襲の評価に術後第1日目のIL-6値が有用であった。また高齢者では強い手術侵襲に対する反応性の低下が示され,合併症を併発しやすいことが理解された。高齢者治療に際しては出血,組織障害を最小に抑えることに留意すべきであり,このような症例に対しては内視鏡手術,腹腔鏡下手術の利点が生かされると考えた。
- 千葉大学の論文
- 1999-10-01
著者
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