皮膚症状を伴なわない抗けいれん剤過敏性症候群
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
抗痙攣剤過敏症候群anticonvulsant hypersensitivity syndromeは,熱発,皮疹,リンパ節腫脹を伴なう稀な症候群で,発症頻度は1,000名から10,000名に1人位と推定される。患者はしばしば重篤となり,ことに肝障害をきたした場合,致死率は18%から40%と高率である。本症候群はジフェニルヒダイトインによるものがまず報告されたが,その後カルバマゼピン,フェノバルビタール投与によっても,同様の症候群が起こることが報告された。治療は本症候群に気付き,薬剤をすみやかに中止することである。我々は17歳の女性で,原因不明の脳内出血で入院し,痙攣予防のためジフェニルヒダントイン投与を受けた患者に本症候群が発症した例を経験した。薬剤開始約1週間後に,著名な熱発,頸部リンパ節腫脹,肝機能異常が出現し,患者は急速に疲弊した。当初,伝染性単核症など感染症を疑ったが,臨床的に否定的で,症状が入院後に起り,また脳内出血との関連が病因的に同一に説明できないことから,ジフェニルヒダントインによる過敏症を疑い薬剤を中止したところ,症状は劇的に改善した。本症候群は,薬剤過敏を示唆する皮疹の出現によってまず疑われることが多いが,本症例では経過中皮疹の出現は認められず,そのような場合でも抗痙攣剤服用患者に熱発,リンパ節腫脹が出現した例では,本症候群を念頭に入れておく必要がある。
- 千葉大学の論文
- 1999-02-01
著者
-
福島 一也
本庄総合
-
大塚 正史
千葉県救急医療
-
菊地 宏久
本庄総合
-
新井 健三
本庄総合
-
上野 征夫
本庄総合病院内科
-
新井 健三
本庄総合病院内科
-
滝 潤一郎
本庄総合病院内科
-
大塚 正史
本庄総合病院内科
-
菊地 宏久
本庄総合病院内科
-
横川 美樹
本庄総合病院内科
-
山田 伸夫
本庄総合病院内科
-
福島 一也
本庄総合病院内科
-
遠藤 康夫
本庄総合病院内科
-
横川 美樹
千葉県救急医療
-
滝 潤一郎
千葉社会保険
関連論文
- 22. 当院における自殺企図症例の検討(第1021回千葉医学会例会・第23回千葉大学第3内科懇話会)
- 28. 保存的療法で治癒し得た柿胃石の1例(第987回千葉医学会例会・第21回千葉大学第三内科懇話会)
- 皮膚症状を伴なわない抗けいれん剤過敏性症候群
- 1. 術前に診断し得た閉鎖孔ヘルニアの4例(第969回千葉医学会例会・第20回千葉大学第三内科懇話会)
- 39.Pure motor monoplegiaのCT (Brain CT in a case of pure motor monoplegia(第758回千葉医学会例会・第9回千葉大学第三内科懇話会)
- 2. 長期予後からみたAMIに対するPrimary stentingの有用性(第1016回千葉医学会例会・第二内科例会)
- 29. 当センターにおける劇症型心筋炎の検討(第1021回千葉医学会例会・第23回千葉大学第3内科懇話会)
- 30. 冠動脈疾患患者のタイプA行動パターンについて(第987回千葉医学会例会・第21回千葉大学第三内科懇話会)
- Initial results of stent implantation after low dose monteplase and nicorandil for AMI trial
- 23. P経静脈左心系コントラストエコー法による心筋染影性の評価(第1003回千葉医学会例会・第22回千葉大学第三内科懇話会)
- 6. 再灌流療法前後のST上昇改善率は慢性期の左室機能改善の予測因子となりうるか。(第1003回千葉医学会例会・第22回千葉大学第三内科懇話会)
- 5. Primary Angioplasty v. s. Multilink Stenting in Myocardial Infarction trialの成績(第1003回千葉医学会例会・第22回千葉大学第三内科懇話会)
- 11. 末期慢性腎不全に合併した虚血性心疾患における治療方針別の予後検討(第1003回千葉医学会例会・第22回千葉大学第三内科懇話会)
- 33. マウス心筋梗塞モデルにおけるG-CFSの有効性について(第1039回千葉医学会例会・第24回千葉大学大学院循環病態医科学・第三内科懇話会)