尿路結石形成におけるヒト腸管内シュウ酸分解菌の意義
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概要
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尿路結石の約8割を占めるシュウ酸カルシウム結石の再発に関連する因子としては,尿中シュウ酸が最も重要であることがわかってきた。したがって,尿中シュウ酸を減少させることが尿路結石の再発を抑えることにつながると推測されるが,そのひとつの方法として,食事中のシュウ酸を減少させることが考えられる。また,摂取されたシュウ酸が腸内で分解されれば,吸収されるシュウ酸が減少することが予想される。まず,ヒト糞便中にシュウ酸分解活性があるかどうかを検討した。シュウ酸を含んだ液体培地で糞便を嫌気培養することで,培地中のシュウ酸が減少することを確認した。これにより,糞便中にシュウ酸分解活性があることが証明された。さらに,炭素源がシュウ酸のみである培地で糞便を継代培養して,シュウ酸分解菌を分離,同定した。これは,腸内細菌叢を構成する細菌のひとつであるEubacterium lentumのうちの一株であると同定された。シュウ酸カルシウム結石患者と健常人とでの糞便中のシュウ酸分解活性の比較では,結石患者にシュウ酸分解活性のない例が有意に多かった。腸管内のシュウ酸分解菌は食物中に含まれるシュウ酸を分解することにより,シュウ酸代謝に関与していると考えられる。
- 千葉大学の論文
- 1999-02-01
著者
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