変異インスリン受容体のInsulin-Sensitive Phosphodiesterase活性に及ぼす影響
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概要
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正常ヒトインスリン受容体,あるいはチロシンキナーゼ活性を欠く変異ヒトインスリン受容体を発現させた3T3-L1細胞を用いてインスリンのinsulin-sensitive cAMP phosphodies-terase (PDE)活性化におよぼす影響を検討した。ヒトインスリン受容体のATP結合部位である1030番目のリジンをメチオニンに置換したチロシンキナーゼ活性を欠く変異ヒトインスリン受容体(HIR-Met)及び正常ヒトインスリン受容体(HIR) cDNAをそれぞれ3T3-L1線維芽細胞にトランスフェクションし,脂肪細胞への分化前後でのインスリン作用を検討した。3T3-L1線維芽細胞はインスリン,dexamethasone, methylisobutylxanthineを添加,72時間インキュベートして脂肪細胞に分化させた。インスリン結合能はwildの脂肪細胞とHIR, HIR-Met cDNAをトランスフェクションしだ細胞で著明に増加した。しかし後者の細胞では脂肪細胞への分化前後でインスリン結合能はほとんど変化せず,むしろHIR, HIR-Metの細胞膜上への発現は分化後半減した。インスリンによるPDEの活性化は脂肪細胞の膜分画でのみ見られ,wild及びHIR, HIR-Metを発現させた線維芽細胞では認められなかった。このインスリンによるPDE活性化は速やかに起こり10分で頂値に達した。HIR-Metを発現させた脂肪細胞ではインスリンによるPDEの活性化はwild細胞,HIR発現細胞に比して低下を示した。これらの結果より3T3-L1細胞ではインスリンによるPDEの活性化は脂肪細胞に分化した後に初めて発現し,その活性化にはインスリン受容体チロシンキナーゼ活性が必須であることが示唆された。
- 千葉大学の論文
- 1994-12-01
著者
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