腹壁外デスモイド腫瘍に於けるTc-99m Pertechnetateシンチグラフィの有用性に関する研究
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概要
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本研究ではTc-99m pertechnetateを腫瘍シンチグラフィとして用いて,腹壁外デスモイド腫瘍に対する診断能および腫瘍部への集積を病理組織所見とあわせて検討した。対象は病理組織学的に腹壁外デスモイド腫瘍と診断された11症例である。Tc-99mシンチは,Tc-99m perte-chnetate 370MBqを静注後10分以内に撮像したearly scintigramと静注後2時間から3時間に撮影したdelayed scintigramの2つの時相で行い,集積の程度を客観的に評価するために腫瘍集積比(Tumor-to-background ratio: T/BG ratio)も測定した。切除標本の得られた10例に対してvascularity, cellularityを検索し,それらとTc-99m pertechnetateの腫瘍部への集積との関連を検討した。11例22検査におけるTc-99mシンチの診断能はsensitivity 94.4%, specificity 100%, diagnostic accuracy 95.5%と良好な結果を得,術後の癈疾との鑑別も容易に行えた。T/BG ratioはearly scintigramで平均2.11, delayed scintigramで平均2.15と良好な値を得,客観的にも腫瘍部への集積の強さが確認された。病理組織学的検討からTc-99m pertechnetateの腫瘍部への集積には腫瘍内部の血流が関与していることが示唆されたが,delayed scintigramで全例腫瘍部への集積を認め,さらに集積が拡大した症例が存在したことから血流以外の別のメカニズムも関与していることが示唆された。Tc-99mシンチは腹壁外デスモイド腫瘍に対して高い診断能を有し,局所再発の診断には簡便で有用な検査である。その際,delayed scintigramは腫瘍の全体像の把握に有用である。
- 千葉大学の論文
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