肥大型心筋症における左房機能の評価 : 超高速CTによる検討
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概要
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X線管球を回転させながら撮影する従来型CTでは,スキャン時間が長いため拍動する心臓を評価することが困難であった。超高速CTは電子線走査型機構を用いることによって撮影時間を短縮し,短時間に多断面の撮影が可能となった。また,超高速CTは左房を含む心臓全体を死角なく描出する点で優れている。肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy: 以下HCM)では左室壁の肥厚とともに拡張機能障害が存在し,左房が循環動態の維持に重要な役割を担っている。本研究では,HCM 22例,正常8例に対して超高速CTを施行し,左房を直接描出することによって,HCM群と正常対照群間で,左房の縮小様式に差異が存在するか否かを比較検討した。cine modeおよび心電図同期法を使用し,同時多断層撮影を施行した。寝台尾側を左方へ25度移動したものを長軸像とした。長軸像で得られた画像のうち,左房が最大面積として描出されている断面を選択し,1心拍間での左房の経時的な面積変化を求め,グラフを作成した。左房の最大面積から縮小期の60%時間後までの面積減少率ではHCM群は正常群と比較して有意に低下していた。しかし,その他の指標では有意差を認めなかった。また,HCM群において,症状の有無による検討では,いずれの指標も統計上の有意差を認めなかった。HCM症例において,左室急速充満期における左房から左室への流入量は低下しており,代償性に左房収縮機能は亢進していた。左室急速充満早期では,HCMの左房conduit機能に与える影響は少ないものと考えられた。HCMでは,症状の発現する以前に左房縮小動態に影響が出る可能性が示唆された。
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