発声時のヒト声帯内部振動について : Ultrasound Laryngographyによる測定
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概要
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声帯遊離縁の振動は詳細に研究されているが,声帯内部の振動については有効な検索手段がなく,未だ十分な検討はなされていない。当教室で開発されたUltrasound Laryngographyによる高速Mモード法を用いれば,声帯遊離縁のみならず声帯内部の振動も同時に記録することが可能である。両者の振動を比較して声帯内部に向かう振動減衰状態の指標となるeffective depth(振幅減衰距離)ならびに位相速度を測定した。一定のpitch・lousnessで発声した場合,声帯内部の振動と遊離縁の振動の周波数は等しく,振幅は深さによってほぼ指数関数的に減少していた。effective depthは110Hz・60dBで3.3mm,150Hz・60dBで2.2mm,110Hz・70dBで3.7mm,150Hz・70dBで2.3mmであり,pitchが減少するほどまたloudnessが増加するほどeffective depthは深くなった。また遊離縁と内部の振動の間には位相差を認め,位相速度は110Hz・60dBで110cm/s,150Hz・60dBで140cm/s,110Hz・70dBで120cm/s,150Hz・70dBで150cm/sであり,pitchが増加するほどまたloudnessが増加するほど位相速度は速くなった。Ultrasound Laryngographyによる高速Mモード法を用い発声時のヒト声帯内部振動を記録しeffective depthならびに位相速度を測定した結果。声帯遊離縁と同様に声帯内部も声帯振動に関与していることが示唆された。
- 千葉大学の論文