"Candour in English Fiction" と『テス』の出版事情とについて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ハーディの小説家としての経歴には、彼の自由な創作活動とヴィクトリア朝後期における雑誌社側からの検閲との間の、対立・ハーディ側の屈服あるいは反発、の歴史が刻み込まれている。そのような観点から "Candour in English Fiction" を見ると、ハーディが当時の雑誌社による Grundyism を盾とした小説家に対する検閲をどう見ていたか、また彼はどのような作家でありたいと考えていたかを垣間見せている点で興味深い。"Candour in English Fiction" は、"Contribution to a symposium in the New Review, January, 1890, pp. 15-21" であり、Harold Orel によれば、"Hardy's bleak assessment is, in part, an outgrowth of the difficulties he had been having with Tess of the d'Urbervilles." ということで、『テス』を連載にこぎつけるまでに経験した辛酸[これがいわゆる雑誌社による Grundyism を盾とした検閲など]を契機として書かれたものである。"Candour in English Fiction" におけるハーディの主張を見るのが今回の目的であるが、その前に、ハーディをしてこの論文を書かせた起因を具体的に見ておこう。
- 1996-11-25
著者
関連論文
- "Candour in English Fiction" と『テス』の出版事情とについて
- 主要登場人物たちに等分の視線を送る語り手 : The Return of the Nativeの場合
- Under the Greenwood Tree 論 : Fancy Day の結婚をめぐって
- トマス・ハーディのラディカルさの出発点
- Jude the Obscure の一断面 : deracine としてのジュードの人生
- トマス・ハーディのラディカルさ-Jude the Obscure の場合
- 実現されなかったトマス・ハーディのラディカルさ : The Return of the Nativeの場合