組織蛋白 glycation と病態との関連性に関する研究 : とくに加齢,動脈硬化,糖尿病について
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概要
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Glycationは蛋白と糖との非酵素的結合反応であり,生体の種々の組織蛋白に生じることが考えられる。本反応は特にturn overの遅い組織蛋白では加齢進展機序として,また,大動脈のコラーゲンでは動脈硬化の進展因子として関与することが考えられる。著者は蛋白のlysine残基のεアミノ基にglucoseが結合して形成されるfructose-lysineを酸性加水分解して生じるfurosineを動脈組織蛋白のglycationの指標として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。大動脈のfurosine値は非糖尿病成人では新生児に比べて有意に高値を示した(p<0.001)。新生児を除いた非糖尿病例のfurosine値は加齢の進展に伴い上昇し,年齢との間に有意の正相関(r=0.46,n=67,p<0.001)を示した。さらに,大動脈のfurosine値と動脈硬化度の肉眼的分類(Grade 0〜4) との間には有意の正相関(r=0.37,n=39, p<0.05)がみられた。また,糖尿病症例の大動脈furosine値はその年令に相当する非糖尿病症例のfurosine値に比べて有意(p<0.01)の高値を示した。これらの結果より,大動脈組織蛋白のglycationは生体の加齢にもとづく病態の成因,および動脈硬化の促進因子の一つになるものと考えられた。また,glycationは糖尿病で亢進し,糖尿病における動脈硬化進展因子になるものと考えられた。
- 神戸大学の論文
著者
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